2021年も電力不足か?(朝日記事の解説)

この冬、電力が足りない 大規模停電や料金急騰の恐れも

長崎潤一郎、加茂謙吾 新田哲史

https://www.asahi.com/articles/ASP5R6QK7P5QULFA006.html?ref=tw_asahi

※本記事はリンク先の記事に関するものであり、まずは引用元をご確認ください。なお、引用および解説対象は無料の範囲です。

>背景には2016年の電力小売り自由化で経営に余裕のなくなった大手電力が、運転にコストがかさむ古い火力発電所を休廃止していることがある。

え!?

>大手電力が期待するほど原発が再稼働していないことも要因だ。

ええ!!?

>>供給不足になれば、暮らしや企業の活動に影響を与えるだけに、大手電力は対応が求められる。

ほっ・・・

解説

①なんでこういう事態になっているかというと最大の原因は小売全面自由化を含む一連の電力システム改革が間違っていたからで、何が間違っていたかというと設備固定費を回収できる仕組みを作れなかった。だから老朽発電所を早く廃止した方が勝つチキンレースになったし、発電所を持たないで「当日の余りもの電気」であるスポット市場から調達することが低コストになってしまった。

「原因は電力システム改革」ということをかなり明示的に指摘しており、朝日新聞がまともなことを言っていて驚く。

「原子力さえ稼働してれば状況はもっと良くなった」と感じられる文章で、これも朝日新聞的ではない。
例えば、「原発の稼働想定を誤った大手電力が代替供給力を確保しなかったのも要因だ」とか、さらっと大手電力のせいにするのが朝日新聞流ではないか。

③「大手電力は対応が求められる」とありますが、大手電力(旧一般電気事業者BGや一般送配電事業者)ができることは限られてます。発電所はいきなり作れないし、火力発電所の修繕は元々需要のピークを外しています。

対応が求められるのはむしろ新電力の方で、スポット市場調達を当てにしていた所要電力を、あらかじめ準備して備えることが必要です。

ブログ読者の中には朝日新聞というだけで毛嫌いする人もいるとは思うんですが、一部を除いてかなり的を射た良記事となっています(少なくとも無料部分は)

終わりに

昨冬の電力危機は寒波が直接の要因だったとはいえ、背景には電力システムの構造的な要因があったと思います。

それが修正できない以上、今後も猛暑の夏・寒波の冬には、同じようなことが再発していくリスクがあります。

消費者にできることは「①市場連動契約は選択しないか、リスクを十分確認・理解する」「②節電や突発的な停電に備えた物資の準備をしておく」(買い占めはしない)ではないかと思います。

最新情報をチェックしよう!