個別株分析:ホープ(6195)

JEPXの高騰が新電力の経営に与える影響について、分析したいと思います。

なお、投稿記事は全て公開もしくはネット情報に基づくものであり、インサイダーもしくはアクセスしがたい情報は一切含まれていません。投資は自己責任ですので、よろしくお願いします。

新電力の1つであるホープ(6195)についてです。

自治体向けに市場から調達した低廉な電気を供給することで、業績を大きく伸ばしてきました。当然、今回のスポット市場高騰では、ダメージを負っていることが容易に想像できます。

しかしながら、株価は下落したとはいえ、今日時点で3,000円を維持しており、個別株にしてはなかなかのお値段です。

本日、「JEPX における電力取引価格高騰による当社への影響及び今後の対応について 」という情報を出しています。そこには、12月以降、相対調達の割合を増やし、市場依存度を37.7%まで引き下げたということです。

これで悪材料出尽くしかと安心して良いのでしょうか・・・

別のサイトによれば、ホープの月間販売電力量は、直近(2020年9月)で139,475千kWhになっているようです。

今年の4月ぐらいから急速に数字を伸ばしてますから、恐らくは低廉な市場から調達して、安値で入札案件を取っていったのでしょう。

JEPXのサイトにデータがありますが、今年4月から8月半ばまで、電気は5円前後ぐらいのコストで市場調達できました。これをいくらで販売していたかは分かりませんが、仮に5円程度利益が取れると仮定すると、1億kWh×5円で月間5億、年間60億円にもなるはずです。2.5円でも30億円ですから、いずれにしてもかなり儲かっていたのではないでしょうか。

そして12月15日から今までのJEPX平均は約50円。これは電気が使われていない時間を含む平均なので、業務用でしたら高い日中時間帯となります。ただ、負荷カーブは分かりませんので、ここでは50円としましょう。

この1カ月で140,000千kWhを販売したとします。コストが10倍になりました。市場依存率は37.7%

約24億円のコスト増となりました。

もちろん誤差はあるでしょうが、1カ月で20億円規模の損失が出ている可能性があります。個人的には、200円を超える時間帯にたくさん電気を使われて、コストはより大きいのではないかと感じます。

2020年9月時点の貸借対照表では、現金21億円・株主資本16億円です。

ん~、うーん。

資金繰りを乗り越えて倒産を免れたとしても、果たして今年度前半のような快進撃を維持できるのでしょうか。そもそもJEPXの高騰はいつ沈静化するのでしょうか・・・。

現時点での投資は相当なリスクがあるものと見立てます。どうしても投資をしたいのだとしても、JEPXの沈静化を確認してからでも十分でしょう。ただ、電気の諸々の清算は後からやってきますから、できればその後、決算を潜るまで、様子を見たいところです。

私は今回の一連の騒動でつくづく感じましたが、効率的市場仮説はあくまでも思考実験上の仮説にすぎず、実際には容易にアクセスできる情報ですら価格に反映されないことがあるということです。

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