エネルギー政策への所感~危機は目の前にある!?~

国の「エネルギー基本計画」素案が示されています。https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2021/048/048_006.pdf

この前に作成された資料に対して、意見が集まっています。

エネルギー政策に関する「意見箱」へのご意見 令和 3 年 8 月 4 日公表分
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2021/048/048_010.pdf

原子力賛成の意見がちらほら見えるのが特徴です。

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>「脱原発」を叫ぶお年寄りには関係のない話ですが、これからを生きる世代にとっては電力の安定供給は最も重要です。

>エネルギー安全保障を毀損し、国内雇用を減らし、それだけではなく電力料金を上昇させ製造業を衰退させることになります。 日本経済を衰退させるためのエネルギー基本計画は大きな間違いだとエネ庁は気づいているはずなので、国民のための仕事をしていただきたい。

>再生可能エネルギーの導入は、無理のない範囲で進めるべきであり、全体のエネルギー政策としては、技術的に見通せる原子力の活用を積極的に考えるべきである。

>驚いたことに原子力の新増設リプレースが明記されていません。7 月 30 日の会合で、保坂長官が原子力を最小限にすることと持続的に活用することは矛盾しないという訳の分からない説明をしたのは呆れました。 官邸の圧力に負けたのでしょうか。

>原子力は、林業だと云った人がいるが、今この芽を摘むと日本と云う山は禿山になる。
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これらのご意見はご尤もなもので、でも反対者の耳には入らないだろうし官邸は無視するんだろうなぁと思いながら・・・

確かに危機は、10年後や30年後にあるかも知れないし、無いかも知れませんが、私が注目したいのは「もう目の前に来ているかも知れない」というところです。

化石燃料の価格が高騰しており、下がりません

原油は70ドル前後ですが、産油量が足りないと言われており、100ドルぐらいまで駆け上がるシナリオも言われ始めています。
OPECの協調減産縮小が、コロナ禍の戻り需要に比べて小幅に留まりました。その裏には、アメリカのシェールオイル事業者が、生産拡大よりも資本家還元を優先しているので、OPECとしては競合にシェアを取られる心配が遠のいている、という事情がありそうです。

ついでにガスも石炭もやたら高いです。

総じて、大きく2つの要因があるとみています。

  1. 2020年初(冬)の寒波で、欧州や中国の在庫が底をつき、その補充需要が強くなっている。
  2. 化石燃料が目の敵にされたことで、投資撤退の動きに歯止めがかからない。

①は短期的な要因で、次の冬が暖冬だったら解消されるかも知れません。しかし②はどうでしょうか。

エネルギー投資は、開発から回収までの期間が非常に長くなるので、将来の見込みが立たなくなれば、投資は成立しません。
しかし、投資がされず供給が減り、需給がひっ迫し、価格が高騰すれば、残り続けた事業者が高価格の果実を味わうことができます。
それも長続きするわけではなく、最後は井戸が閉じ、山が閉じていき、それでも代替エネルギーにアクセスできない層は困窮することになるでしょう。

それが日本ではないと、言い切れるでしょうか?

今目の前にある問題を正確に理解し、その解決の方法を考えられなければ、いくら将来のことを想定しても、現実味の無いプランにしかならないと考えます。

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