人気株に潜むリスク

ざっくり個別株について書きます。装飾無しです。読みづらくてすみません・・・。

個人投資家に人気の、KDDI(9433)とオリックス(8591)についてです。

新年も株価は好調ですが、まだ反映されていない下落リスクについて触れます。

なお、言うまでも無いことですが投資は自己責任ですし、下落リスクお構いなしに上昇を続けることもありますから、あくまでご参考までということでお願いします。

先日までのエントリーの通り、電力市場スポット価格が過去最高水準に高騰しています。高いというか異次元です。

新電力はこれまで安かった市場からの調達に依存する傾向がありますので、急激な高騰によって大きなダメージを負うことになります。

ところが、株式市場に現れているのはまだ一部ではないかと見ています。

例えば、発電卸の電源開発(9513)は市場高騰の恩恵を受けると見做されて買われており、逆に市場に依存して新電力事業を展開するホープ(6195)は売られていますが、電気市場に吹き荒れる嵐と比べれば、株式市場関連銘柄は落ち着いているように見えます。

皆さんお馴染のKDDIは「auでんき」というブランドで電気の小売りサービスを展開しています。

平成30年度は https://www.au.com/electricity/dengenkousei/ のとおりですが、「卸電力取引所」から58.5%も調達しています。
今、スポット価格は10倍以上の値段になっていますが、日々500円だった電気代が5,000円にになるようなもので、無傷のはずがありません。

・・・ただ、卸電力取引所でも、スポット以外にもベースロードや先渡取引がありますし、何らかの形でヘッジしている可能性もありますから、リスクをどこまでコントロールできているかは何とも言えません。

一定の前提を置いて試算してみます。auでんきは「200万件突破」しているそうです。

https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2019/05/15/pdf/press_20190515d.pdf

1件当たりどのくらいの電気を使用しているかは不詳ですが、仮に320kWh/月としましょう。

そうすると、200万件×320kWh×1月=6億4千万kWhとなります。

JEPXが昨年末から高騰しているので、仮に1カ月間、調達コストが90円上がったとしましょう。

6億4千万kWh×58.5%×90円=337億円の損失です。

配電端と送電端の控除率の問題とか色々ある気がしますが、細かい要素を抜きにしてものすごい影響がありそうですよね。

しかも、今回の高騰は燃料不足によるもので、その解消の見通しは立っていませんから、更なる長期化、更なる高騰の可能性もあります。

もう1000億円の損失すら見えてきますね。

もちろんKDDIは通信事業の巨大会社なので、直ちに経営不振とはならないでしょうが、小さくないインパクトが株に生じる可能性はあると考えます。

新年になって、子供のためのジュニアNISAの銘柄や、自分のNISAのための銘柄などを物色している方もいらっしゃると思いますが・・・

念のため、電力市場が沈静化する以外の要素で、上記の損失が軽減される要素を列挙します。

  • 市場からの調達のうち、スポット割合は限定的である。
  • 平成30年度から今までに相対調達等のリスクヘッジを進めた。
  • 事業全体のポートフォリオの一部に過ぎない。

等です。株価がどうなるかは、考えてみてください。

オリックスはどうでしょうか。実はオリックスもエネルギービジネスを手掛けてます。

https://www.orix.co.jp/grp/business/electric_power_trading.html

「季節や天候に左右されない、安定した電力供給を目的に、自社発電所3基を運営」とありますから、具体的な数字はありませんが、市場調達は限定的のように見えます。

図解には市場調達の説明はありません。常時バックアップからスポット市場依存を高めるようなことをしていなければ、市場高騰の損失はあまり無さそうですね。

ただ、日本全体で引き続き電力需給がひっ迫しています。寒波が過ぎ去っても燃料不足はすぐには回復せず、電力不足で経済に悪影響が出ることも懸念されます。

他の銘柄も、意外と電力ビジネスに参入していたりしますので、調べてみてはいかがでしょうか。

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